そろそろ円天市場(L&G)について一言いっとくか

どうも、ポールです。「楽天叩く暇があれば、こっちを叩けよ!」ってわけで最近お茶の間を賑わせているマルチの詐欺集団L&Gの円天市場についてです。いやいや、ちょっとはしゃぎすぎましたね、この会社は。知っているようで知らない方も多いようなので、「円天市場?何それ?」って方は勉強がてらにどうぞ。
詳しくはyoutubeなどに「円天市場」とかで動画も挙がっています。

L&G円天市場は「ねずみ講2.0」

正式名称「無限連鎖講」という奴です。ねずみ講マルチ商法MLMマルチレベルマーケティング)とも言われます。この円天市場の場合は、出資を募り、その出資額に見合った独自通貨「円天」を配当し、その円天を使って加盟店店舗や円天市場の取扱い商品が買えるというなんだかちょっと新しい感じの詐欺です。厳密にどれにあたるかは微妙なところですが、ねずみ講の亜種といえるのではないでしょうか。ちなみに一人当たりの平均的な出資額は1000万円はくだらないらしく、会員数は3万5千を超えているもようです。
本来この手のねずみ講オレオレ詐欺や証券詐欺などの詐欺と比較してあまりメディアで取り上げられません。というのも、あまりに一般化しすぎているため話題性に大きく欠けるわけです。あなたの周りにも自覚があるないは別にして被害者は多数いるのではないでしょうか。(僕の周りにも多かったです。事実、母が・・・涙)最近はメディアにもほとんど取り上げられませんが、L&Gの円天市場の場合はちょっと調子に乗って目立ちすぎたようです。単純計算で1000万円×35000人=3500億円という歴史に残る被害が出る危険性があり、もう無視していられない状況になっています。L&Gは5年以上前から活動していたようですが、何故ここまでに発展したのか、その新たな詐欺手法についてみてみたいと思います。

驚愕「円天市場」詐欺のポイント

「よくある昔からの詐欺だろう」と思われますが、ちょっとビジネス視点でも良いところを突いた「ねずみ講2.0」といっても過言ではある感じなのです。ちょっと多いですが以下。

  1. システムまで楽天?!「モール」を運営 
  2. 独自通貨「円天」の使用による経済圏の確立
  3. プラーベートブランドも保有
  4. 携帯電話の電子マネー(?)の使用
  5. 食料品をはじめ生活に密着した商品も購入可
  6. 地域密着型ローリング戦法
  7. 上記すべてが幻想という末路
1.システムまで楽天!?「モール」を運営

この手の詐欺では商品を詐欺のカモに高く原価で仕入れさせて、販売させるのは当然です。しかし、円天市場の場合はちょっと異なります。商品売買の場である「モール」を提供し、商品自体をカモに出させます。商売をやっているカモを加盟店にさせるというわけです。基本的には加盟店と会員が「円天通過」で売買します。円天市場(L&G)側は会員からの出資金に対して円天を配当し、その独自通貨のプラットフォームを提供するのです。円天市場楽天から名前だけじゃなく商売方法もちゃっかりぱくってるんです。(詐欺じゃなくてモールシステムという意味で)

2.独自通貨「円天」の使用による経済圏の確立

仮想の独自通貨使用によりある種の閉鎖的、宗教的コミュニティを生成。通過が日本円ではなく円天という独自通貨のため通貨価値が曖昧で金銭感覚を麻痺させることに成功します。まさに円天通過の管理側のやりたい放題という最高の詐欺環境が出来上がります。

3.プライベートブランド

ジャスコ系列でいったら「トップバリュー」。利益率の高い自社商品です。マルチ商法でよく化粧品販売とかがありますが、これはほとんど言ってみれば「プライベートブランド」です。詐欺会社が作って法外な価格設定をした商品です。円天市場はモールを運営する新しい形の詐欺組織とはいえ、ここはやっぱりオイシイのか手堅く抑えてきましたね。しっかり円天市場プライベートブランドを売っています。

4.携帯電話で電子マネー(?)の使用

独自通貨の管理・決済は全て電子マネー・お財布ケータイとして扱われと宣伝されています。しかし、実際僕も円天市場ちょっと使ってみましたが、これは全然普通の電子マネーではありません。電子マネーというと「スイカ」とか「エディ」とかの非接触型のを思い浮かべますが、実際は違います。ポイントのようなものです。まずは、円天通貨の管理の仕方を説明しましょう。
会員は皆さんIDを持っています。(携帯でインターネットに接続し会員登録し、マイメニューで管理する。IDは基本的に電話番号)そのIDにそれぞれ円天が貯金されている形です。商品購入の際は「円天の移譲」という形で、マイページから相手先のIDへと何円天送金(移譲)するかを打ち込んで送金を完了させます。電子マネーといえば電子マネーかもしれませんが、なんとも安価なシステムで作られた電子マネーです。これで電子マネーとは笑わせてくれます。電子マネーを利用することで「よくわかんないけど、なんだかすごいぞ!」と思わせたかったのでしょう。

5.食料品をはじめ生活に密着した商品も購入可

高額商品だけではなく生活必需品レベルまで購入可能にすることで、よりお得感、親近感が出てきます。これは上記のモールシステムがあるからこそ成せる技なのです。(とはいっても当然、取扱商品の網羅性は極めて低いです)

6.地域密着型ローリング戦法

各地域で毎日のように「あかり天国研修会」や「円天市場」、「あかりコンサート」などと呼ばれる催しを、信用に値する「有名ホテル」等を貸しきって開き、地域に密着して商圏を広げていっています。有名ホテルってだけで簡単に信頼してしまう人がいるんですよ、ホントに。

7.上記すべてが幻想という末路

問題は、?やたら高配当(独自通貨の年利子率100%)、?「円天⇒円」への交換ができない(できてもそれを保障できない)の2点です。簡単に言えば、ハイパーインフレ起こして、会員が大損害を受け終了です。
この通貨システムの根幹を支えるのが、円天市場(L&G)への「円天受取保証金」だか出資金だかわからない怪しい金なわけです。(平均出資額1000万という)会員が増えてこの出資金が増え続けない限り、円天市場はその独自通貨システムを維持できずに、会員を巻き添えに倒れてしまいます。出資額などに従って独自通貨「円天」を会員に配当し続けるわけですが、それが利率100%とやたら高配当で、その理由が不明。その高配当の源泉は何だと。どこで付加価値が生まれている?独自通貨だからってべらぼうな高配当は無理です。仮想ゲームであるモバゲータウンなどのゲーム内仮想通過であれば別ですが、現実世界と同じように実物の商売がなされる独自の経済圏を生んだ時点でもうお遊びじゃないんですよ。出資金まで取ってるわけですし。

それに「円天⇒円」への交換ができない状況はやばいです。この交換が出来ない以上、円天は本来価値がないわけですので、円天は「信頼」に支えられているわけです。通貨発行組織が多少は信頼できる国ならまだしも、よりによって「なんか怪しい会社」です。この会社は独自通貨をコントロールできる立場にあるわけで勝手に自分たちに発行しまくって自分たちのためだけに買い物をしまくるなどの行為がやりたい放題なわけです。ハイパーインフレ起こして自分たちだけ大儲けして、会員には大損させるなどが糸も簡単にできてしまうわけです。例えばこれが、ゲームのモバゲーであればモバゴールドなる独自通貨を発行しまくっても、それで買える物は所詮アバターを着飾ったりようなことにしか使えません。ですので、この「通過管理側の信頼」という点は問題にすらならないわけです。つまり、全てが仮想で収まっているのかどうかがポイントです。

ということで、後は時間の問題です。時限爆弾が爆発する前に美味しい汁だけ吸って首謀者達が逃げていくって予想図がみえみえです。そして、被害者は被害者面するわけです。この手の商法の場合は被害者兼、加害者なのに。。。

独自通貨を使用することによって「円天経済圏」なる幻想を生み、それに自称「電子マネー」を絡めてわかりにくくするという繊細な心意気。こういうのに弱い人はこれだけでもう「パッパラパー」になっちゃって「なんか知らんけどすごいシステム!ラッキー!」ってなっちゃいます。いやはや、被害が相当額に及びそうで無視できない状況ですが、こういう方たちを助けるのは一体誰の役目なんですか?見捨てますか?

メディアの提示

よく詐欺の加害者が「悪」、被害者は「弱者」という構図で報道されることが多いのかなと思いますが、なにか最近は被害者が「アホ」という構図に多少なってきているような気がします。(個人的な印象)まあ、まさにそうなのですが。
「数十年日本で生活してきて、散々この手の商売は危ないと聞いてきて、何をやっているんだと。ふざけるな、いいかげんにしろ!アホが!」というのも確かにわかります。でも、それではちょっと酷かもしれません。いつの世も疑うことを知らずに、かつ欲深い人間はいるものです。それぞれ各人にやむにやまれぬ事情もあるのでしょう。

被害者への説得方法

というわけで、話は変わって、実際にこの手の詐欺に引っかかっている人を説得する場合です。正直、「そんなマルチのシステムがいつまでも続くわけがないだろう?」とか「そんな良い話があるはずがない!」、「ほらネットで検索したら詐欺だって、ホラ!」って頭ごなしに説得に回る人がいますが、そんな当然の説得方法が聞くならばとっくに誰かやってますし、そんな知識は騙された本人も当初は持っていたわけですよ。それでも騙されたわけです。それを前提にして説得しなければいけません。頭ごなしに当然の説得をしても相手は「自分の場合は違う」って思っているわけですから、この対応で被害者は、説得者を敵だと思い「バリア」を張ってしまうことになります。今回の詐欺の場合、それを指摘した週刊誌の記事に対し、会員側では以下のような反応があったようです。(発表の信憑性は不明)

23. GreenFinger URL 2007/03/31 07:38
昨日のAP会ではフライデーの記事を会場のみんなで笑い飛ばしてました(笑)(中略)そもそもあかり会員でもないフライデーの記者がたった数時間の取材で複雑な円天のシステムを理解できるはずがないのです。円天の意味を理解している人から見れば「勉強不足」としか言いようがない記事です

多重ロマンチック:稲妻Jr.は落選! 危ないのは円天!

聞く耳を持ちません。
直接説得にあたる場合、重要なポイントは、

被害者の立場に立ち、肯定的・論理的・具体的に説得にあたること

です。まず自分が仲間だと思わせましょう。被害者を否定せず、相手が一体何を望んでいるのかを明確にして、それが具体的かつ論理的にどうして実現不可能なのかを一つ一つ明確にしていくことです。感情的に否定してはいけません。ちょっと今回の詐欺の場合はシステムが多少複雑になってて難しいかもしれませんが。

事前対処

まずはセミナーに行かないことです。絶対に。勧誘を行うカモは洗脳されただけの素人ですので、あまり怖くはありません。むしろ彼らの役割はセミナーまでのポン引きみたいなものです。そう、問題はカモを主導している詐欺のプロ達であり、彼らの主戦場であるセミナーに足を運ぶことだけは避けなければならないのです。疑ってはいても一度彼らプロたちのホームに足を踏み入れれば数々のトラップが待ち受けており、あなたの考えがひっくり返されることになるやもしれないのです。プロとの直接対決は避けましょう。

それでも説得できないのが普通だから

詐欺の被害者の目を覚まさせることは、実際に事件化するまでは相当難しいです。だからと言って、「詐欺に引っかかるは自己責任だ!」「騙される方も悪い!」「欲深い小金持ちどもめ!」などと断じてしまうと、問題は永遠に解決しません。どんな時代にも一定割合は騙される人間は出てきます。こればかりはどうしようもありません。そういう前提で考えなければなりません。だからこそ、半ば強制的に被害者を詐欺から切り離す仕組みが必要です。
相手が子供であれば無理やり切り離すことも可能でしょうが、現実にそういうことは少ないです。実際問題として、行政の面から法改正で罰則を厳しくしていくのもしかり、詐欺組織の疑いの濃厚な組織にはその営業活動の場を与えない(今回の場合はホテル等がセミナー・販売会場の貸与を拒否する。社会悪には信用供与をしない。)などの処置をするなど色々と考えられます。地域社会や業界で詐欺被害に対処できるような仕組み作りが必要なのではないでしょうか。
騙すのは当然悪い。騙されるのも悪い。でも、人間だもの騙されることもありますよ。だから、「どんだけアホやねん!そんなアホは騙されて当然だ!」なんて批判は後にして、そもそも騙されない仕組みを構築しませんか。そして、その後に言えばいいわけです。「お前バカだなー!騙されそうになってやんの!笑」って。そしたら、ネタで済むじゃない?ハッピーじゃない?笑*1

*1:全然一言じゃない!笑