新卒学生が速攻で1億1258万円儲けるための会社の選び方

ポールです。金儲けの良い方法考えました。これは法令順守なんて糞食らえな皆さんに朗報です。自分が儲ければそれでいいという皆さんに朗報です。競争率の高い企業の行くのは止めましょう。商社やコンサルがかっこいいって?んなアホな。目を覚ませ!儲かる会社が一番だって!もっと競争率が低くてウハウハな会社があるわけです。株式投資と同じ。有名企業だから儲かるわけじゃない、目の付け所が大事です。

  1. まず、企業のディスクロージャー(情報公開)支援を行っている会社に入社します
  2. インサイダー情報を入手します
  3. お金を集めて、その情報を利用して株取引をします
  4. ウハウハになります
  5. 会社を辞めて本当に行きたかった会社に第二新卒で入りましょう

(お金は十分にあるので働かなくてもいいです)

失望しました

えー、インサイダー取引のニュースを耳にしました。いやもうね、失望なわけですよ。夢も希望もついえたわけですよ。前から面白い事業してるなと思って結構気にしていた会社が「絶対やってはいけないこと」をやっちゃってくれたからです。正直、本当に悲しいわけですよ。

印刷会社元社員がインサイダー、校正作業で情報入手 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

上場企業の株券印刷などを請け負う東証1部上場の印刷会社大手「プロネクサス」(東京都港区)で、企業が株主に発送する通知の校正作業を担当していた元女性社員らが、仕事で入手した株式分割の事前情報を使って取引先企業の株を購入していた疑いが強まり、証券取引等監視委員会は7日、元社員と親族の計7人を証券取引法違反インサイダー取引)の疑いで秋田地検に告発した。


同地検は同日中にも、同法違反容疑で強制捜査に乗り出す。


告発されたのは、東京都葛飾区の佐々木美千子・元社員(43)と夫(36)、秋田市に住む夫の父親の会社役員(61)と母親(61)ら親族計7人。プロネクサスは、東証から株券印刷の指定を受けている8社のうちの1社。監視委の調べによると、佐々木元社員は株主に発送する取締役会決議通知などの校正作業を補助する業務を担当し、業務の中で株式分割の情報を知るたびに、親族に電話や携帯電話のメールで知らせていた。


元社員と親族は、この情報をもとに、東証1部上場の伊藤園など計18社が株式分割を公表する直前の2005年4月〜06年3月、15万9770株を計約8億5000万円で買い付けた疑い。元社員らは、各社が公表し株価が値上がりした後にすべて売却し、計約1億1258万円の利益を上げていた。監視委は06年9月、関係数か所を捜索し、解明を進めていた。今後は秋田地検と合同で捜査を続け、資金の出所などについて調べを進めていく。


同社は1930年に創業。株券や企業の情報開示文書などの専門印刷会社で、07年3月期の連結売上高は219億8700万円。06年10月に亜細亜証券印刷から社名変更した。約2300社の上場企業と取引がある。

印刷会社元社員がインサイダー、校正作業で情報入手 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

ついに | isologueでも取り上げられていますが、これはかなりやばいことです。ここプロネクサスはとてつもなく多くの上場企業との「有価証券印刷」や「ディスクロージャー支援」などの取引を持っているわけです。
ちなみに東証一部上場企業です。

当社の主力事業は上場企業を中心とした事業会社のディスクロージャー・IRツールの制作です。2006年12月現在、国内上場企業約3,900社中、約 2,300社から、有価証券報告書決算短信株主総会招集通知や年次報告書などの定期的な開示書類のご発注をいただいており、それらの主要品目の多くでトップシェアを有しています。また、新規株式公開(IPO)企業の約62%から上場申請書の制作を受注しています(2006年1月〜12月実績)。

ソリューション|株式会社プロネクサス

国内上場企業約3,900社中、約 2,300社からディスクロージャーに関わる業務の支援を行い、企業のIR担当者向けにディスクロージャーに関するセミナーも行っている会社であります。年間250回以上、2万名以上の参加者を集めて。そんな情報開示の大先生となるような企業が「インサイダー取引」という聖域に手を出してしまいました。「インサーダーはいけませんよ!」と生徒に教えてる先生が「てへへ、やっちゃった。今後気をつけます。」ってなもんじゃ済まされない事態なわけですよ。プロネクサス宝印刷の2社によって、日本企業のディスクロージャー実務が事実上決まっている寡占市場の状況において、今回のプロネクサスの不祥事はかなり深刻です。

法令順守の企業風土を声高に叫び、ディスクロージャーには「徹底した品質管理と機密情報管理」が必要不可欠だ、「株券+情報開示書類=インサイダー情報」なんだなどと声高に叫んでおきながらこのざまです。本当に恥ずかしくて恥ずかしくてしょうがありません。信頼している友人に裏切られた気分です。

再発防止策

  • コンプライアンス知識の更なる徹底(誓約書とか厳しくしましょう)
  • 情報管理体制の更なる強化
  • 専門部署設立
  • 再発防止策の監査および推進
  • 全ての上場株券売買の「事前届出、事後報告」の義務付け
http://www.pronexus.co.jp/home/release/release20070607.pdf

などなどをやっていくらしいです。非常に気になるのが、最後の『全ての上場株券売買の「事前届出、事後報告」の義務付け』という点。

株取引が禁止されていませんでした。そしてこれからも。

いやいや、何を今更言っているんだと!インサイダー情報を知りえる立場にいながら、そういう社内規定は今までなかったのですか?いやいや、それで上場企業のIR担当者向けに実務支援やセミナーやってるとは笑ってしまいますな!甘すぎるでしょ!というか、事前届出と事後報告の義務付けでも甘いでしょ!禁止禁止!!!!再発防止を本気でする気があるのであれば、株式取引の禁止を義務付けるべきであって。日経とか禁止されてますって!この事態甘く見すぎてることバレバレですよ!東証さん、指導するべきではないですか?

ちなみに再発防止策の中に「STOP THE INSIDER」の「名札ストラップへの印字」や「スクリーンセーバーの表示」とかもあります。インサイダー取引の違法性に対する認識がストラップぶらさげたくらいで上がるとでもいうのでしょうか?気休めもほどほどにして下さいとしか言いようがありません。

結局は社員の認識、社内の空気の問題

再発防止策やるといっても結局は「社員の認識の問題」なので完璧に統制するということは無理なわけで、社内の情報管理をいくら統制しようと限界があります。そこではやはり「社内の空気感というか文化」とかが重要なわけでして。それなしに「これからは厳しくいくからな!」って社内で大号令をかけても、そういう空気を社員自らが感じ、自らが醸成していくような環境になければダメでしょう。

社内の風土として仮にインサイダーについて認識が甘い状況にあるとすれば深刻ですが、プロネクサス社内の管理体制に関しては非常に厳しい状況にあったとみて問題はないと思います。そうでなければ、多くの上場企業IR担当者からの信頼など得られませんし、東証が株券印刷を認める数少ない「適格株券印刷会社」にもなれないでしょう。今まで散々言ってきましたがプロネクサスは寡占市場のプレイヤーとしてしかるべき企業であったと思えるわけです。では、なぜこんなことになってしまったのか。何がこのような事態を引き起こしてしまったのか、容疑者の人柄・人間関係なども含めた真相が気になるところです。今回の件が一社員の暴走であり、氷山の一角でないことを祈ります。

視点を変えて、この会社の新卒入社について考えてみる

人材は営業職とか大募集中で、入社すれば、営業として入社1、2年目から上場企業のIR担当者やトップと接点が持てます。そして「インサイダーはダメよ!」という非常に厳しい教育のもと、ちゃっかりとインサイダー情報を入手し、チョメチョメすることも難しくはありません。上場企業の情報開示書類のリーガルチェックを行っている新卒2、3年の方もいます。ぶっちゃけプロフェッショナルの集団といってもみんながみんな「ビバ法令順守」のプロではあるという保証はないというわけです。

今回の件は勤続16年という年月を経てこういう事態になったわけですが、では勤続16年が必須条件だったのかというと微妙ですし、やり方を工夫すれば同じようなことが数年でできたとも考えられるわけです。

最後に

学生よ

こういった目の付け所で会社に入社するという選択肢もあるんだよ。「本当に自分がやりたいことって何だろう」って物差しで会社を選んでいる純粋な人間がいる傍らで、それをせせら笑っている「頭だけは良い極悪人」がいてもおかしくないんだよ。

だから株式投資は不公平なんだよ。。。

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やっぱり保田さんがおっしゃるように儲かりませんわ。儲かってもやってられませんわ。こんな、せこをしている「神」がいたら。

実のところ

ついこの前、僕の仲の良い友人が就職先をどういう風に決めたら良いか分らなくて困っているという状況でしたので、ディスクロージャー周りに興味があった僕は「この会社面白いぜ!」って大絶賛して強引に新卒会社説明会に連れて行ったことがあったわけです。それも1人じゃなくて2人も。彼らは運良く「どうしても興味がわかない」と言って結局選考に進むことを拒みましたが、振り返ってみると今僕は自分のバカさ加減というか甘さがものすごく恥ずかしくて恥ずかしくて、仕方がないわけです。自身が入社する気はなかったにせよ、信頼する友達にオススメする程だった会社がこういう事態になってしまうなんて。本当に悔しいです。