mixi時代の終焉 (神話の崩壊)

mixiの黄金時代が静かに終わりを告げました。

今回は若干ビジネス寄りでmixiを見てみましょう。株式上場により超高速での成長を義務づけられた株式会社ミクシィ。人材サービスのFindJobという高収益事業を保有しつつも市場の期待はほぼSNSmixiであることには間違いありません。(以下、全てmixi

しかし、上場時に約300万円だったmixiの株価も今は200万円をきっています。上場時に株を買った人の意図は様々あれどこの手の株にあの時点で手を出すのは、どう投資収益を計算しようとも僕には理解できません。経験則で「遠慮させていただきます」です。モーニングスターなどの投資情報もこの手の株では全く役に立ちません。よっぽどユーザーに直接リサーチかけた方が良いです。
さて、市場もそろそろmixiの将来性の有無に気づいてきているのかもしれません。「mixiの時代の終焉」に・・・。

  1. 会員数の伸び悩み (会員1人当たりからの収益を大きくする必要性⇒新サービスなど)
  2. 新サービスによる収益機会の模索(直接、間接的を問わず)の度重なる失敗 (収益の急拡大というマーケットに期待に応えられるのか?)
  3. 1,2によるmixi時代の終焉

この1、2の特に2を見てたい。

mixiはインフラ。そのインフラにサービスを乗っければ良いだけ。

mixiの社長の笠原さんが「mixiは社会のインフラになった」というようなことを、あるビジネス誌でおっしゃっておられました。僕もある程度mixiはインフラとしての役割も担うようになったと思います。そして、そのインフラの上に様々なサービスを乗っけていって収益拡大を目指すことは出来なくはないと思います。ですが、現状はどうでしょうか。何か目新しいサービスがあったでしょうか。

mixi動画」と「ミクドラ」。mixiというインフラの上に満を持して乗っけてきたサービス。

最近、mixiに足音もなく静かに加わった新機能(サービス)が「mixi動画」と「mixiドラマ(ミクドラ)」です。現段階で成否を決め付けるのも時期尚早かとは思いますが、完全に失敗です。全く盛り上がっていません。ベンチャーはある程度の規模になると身動きがとりにくくなります。mixiも同じです。そんな中、最近なんとかその重い腰を動かしたのが「mixi動画」、「ミクドラ」だったのです。結果、ずっこけました。(見方は様々でしょうが)

mixi動画

有料会員のみ動画が日記のようにアップロードできるサービスです。自前のサービスのようですが一体何がしたいのでしょうか。このサービスのどこに魅力があるのでしょうか。仮に魅力がないとしたら何故リリースしたのでしょうか。このサービスを使っているユーザーは1%もいるのでしょうか。とりあえず最近動画流行ってるし、mixiにくっ付けてみたよ的な感じは否めません。工夫なさ過ぎです。今後どうするつもりなのでしょうか。

ミクドラ

【第一回mixi×ドラマ制作】 株式会社ミクシィ 株式会社アイメディアドライブ 株式会社角川クロスメディア
【第一回mixi×ドラマ制作協力】 角川書店野性時代
【取材協力機関】 夢の島熱帯植物館 なゝ樹 日比谷アメニス

あの角川グループのバックアップの下、そこそこ力を入れているようです。さて、ユーザーの反応はどうでしょうか?
【日記検索の結果】

「ミクドラ」・・・34件 (「[特別企画]mixi×ドラマ」・・・18件)
偽装請負」・・・36件
ハードゲイ」・・・154件

【コミュニティ検索結果】

「ミクドラ」・・・12件 (最大コミュ181人)
偽装請負」・・・10件 (最大コミュ370人)
ハードゲイ」・・・115件 (妥当な最大コミュ1196人)*1

比較対照の是非は置いておいて、言及数が相対的にも絶対的にも悲惨な状況なのは十分見て取れると思います。mixi公認というか、mixi運営側のプロモーションし放題のサービスなのに・・・。つまり、大失敗です。

ミクドラでは、ドラマの登場人物がmixiアカウントを持っていたりとmixiのサービスをうまく取り入れているらしいのですが、そもそもパソコンで、ちょっと写真が付いたくらいのテキスト主体の小説なんぞを見るインセンティブがあるのでしょうか。(携帯でミクドラは現在見れません)暇つぶしユーザーをターゲットに携帯でこのサービスやるならまだわかります。どういう戦略でこのサービスを展開しているのでしょうか。*2

最高のインフラmixiに乗っける新サービスの頓挫

動画サービスなんかは最近「字幕.in」や「ニコニコ動画」、「Rimo」などが有名です。アメリSNSトップのmyspaceも動画サービスをうまく取り入れています。韓国のサイワールドは日本とは全く異なるビジネスモデルで、(実際に体験してみるとわかりますが)非常にサービスとして完成度が高いです。それに比べるとmixiは冗談抜きで疑問符が付きます。文化とネットワークの外部性に守られているといっていいでしょう。
これは「日本という文化にあわせた結果でしょうがなかった。日本の文化は特異でSNSもそれにあわせざるを得ない」といって目をつぶれるものではないでしょう。結果をマーケットのせいにばかりしていても何も始まりません。

新サービスの失敗は人的リソース配分のミスなのか?

mixiは今年から新卒採用を開始しました。(セカンドライフ上での新卒採用プロモーションをしていましたね)総合職と技術者を同時に採用してはいますが、技術者を優先して採用しています。技術者不足もあるのでしょう。しかし、開発をないがしろにしろ言うわけではないですが、今mixiに足りないものは本当にそこなのでしょうか。サービス企画の段階でもうすでに勝負が決まっているきがします。mixi動画にしてもミクドラにしても。社内の貴重な人的リソースを一体何に割いているんでしょうか。どうやら問題の本質はここにありそうです。経営リソースの中でも人的リソース。ここ最近でモンスター並みに急成長したということもあり、この部分の戦略の詰めが甘かった。もしくは、SNS市場の急拡大に適切な人材の補充が追いつかなかった可能性ありです。

実質ユーザー数の減少

もう、皆さんもお分かりの通りmixiの会員数の急増はもう見込めないでしょう。
最近の会員増加率は完全に頭打ちしています。これとは逆に会員だけど実質的に利用していないという「休眠ユーザー増加率」。これは実際に公式な統計が出ていませんが、確実に増加の一途を辿っていることはmixiユーザーにはおわかりでしょう。数字として見えるユーザー数の増加と数字としてみえない実質ユーザー数の減少が打ち消しあい、ついには実質的にユーザー数の減少が始まることも十分にありうる話です。そして、それが周知の事実となれば、現状のままの体制では広告費からの収益の減少にも繋がりかねません。

mixi運営側、mixiユーザーの両側からmixi神話が崩壊する

mixiインフラの上に乗っけていく新たな収益源となるサービス企画の失敗」、「実質ユーザー数の減少」。この両方からmixi神話が崩壊し、mixiの時代が終わりを告げることになるまでそう遠くはないのかも知れません。特にサービス企画の失敗が個別の事象というわけではなく、仮に組織としての体質の部分が大きな割合を占めていたとしたら(例に挙げた、人的リソース問題など)・・・
mixiの未来はありません。誤解のないように付け足しておきますが、ここでいう未来というのはマーケットの期待している「大きな」成長という意味です。株式市場のmixiであり、ビジネスとしてのmixiで、mixiというSNSが終わりということではありません。*3.*4

希望

とは言っても、mixiSNSダントツの業界トップ。この後の戦略次第で余裕で挽回できる位置にいます。モバイル分野でモバゲーやGREEが猛追している中で、インフラの上にサービス乗っけていく(eコマースの計画があるようですが、それは面白そうです。ただいつの時期になるのかですよね。他の会社も指を咥えて待ってるというわけではないので。)というだけでなく、mixiにはまだまだ新たなサービスを生み出して欲しいものです。mixiの始まりがそうだったように・・・
以上、好き勝手書いてすいませんでした。お許し下さい。

関連エントリ

「mixi読み逃げ」の真相は120%自作自演だよ - Student magazine
amazonがmixiに殺られる理由 - Student magazine
amazonmixiに殺られる理由」は1,2,3と途中で終わってます。すいません。いずれ続きは書きます。

Twitter始めました ⇒ http://twitter.com/paulmakoto

最近のWeb2.0関連ニュース

こんなときこそ頑張るしかない。株価の低迷なんて気にするな。業界全体で見ればすぐに晴れ渡るさ。

*1:2007,4,9現在

*2:それにこのミクドラ、特設HPを解説しているのですが、その中身のページが「工事中」ばかりで本当にやる気があるのかと疑いたくなります。何なんですか?

*3:同様に僕の中で「はてな」ブックマークもほとんど終わりました。del.icio.us firefoxプラグインの登場で。

*4:あくまでもある一つの視点として述べていますので批判は承知の上です