携帯コミック市場爆発の裏には性欲の爆発あり

ごきげんようマトリックス(えびぞり)をやらせたら世界を舞台に戦える実力を持つポールです。まあ、そんなことはいいとして、まずは以下のニュースをどうぞ。

コミック配信が急増した原動力は携帯電話向けの配信。PC向け/電子書籍端末向けの配信も2005年から2006年にかけて、15億円から25億円に拡大しているが、携帯電話向けの配信は、2005年の25億円が2006年には165億円となった。これはコミック配信市場の87%を占める。

拡大する電子書籍市場、コミック市場は190億円規模に──シード・プランニング調べ - ITmedia Mobile

しばらく静観しようと思っていたのですが、そろそろ我慢できなくなりました。まあ、携帯コミック市場すごいみたいですが、ちょっと下をご覧下さい。もう相当前からお気づきの方も大勢いらっしゃると思いますが「市場拡大の先陣を切るのは性的コンテンツ」という奴が携帯コミックでも当てはまります。

携帯コミック主要サイトトップページ週間ランキング*1

パピレスDXコミックス館
  1. ようこそ、僕の保健室へ
    • 保険の先生の応急手当はHすぎ!
  2. 獣のように・・・。
    • 仕事の鬼と呼ばれる私を、誰か組み敷いて!!
  3. 記すのは君の媚態
    • 憧れの官能小説化は・・・野獣でした!!
めちゃコミ
  1. AVない奴ら
    • AV制作会社で機材運びのアルバイトをすることになった新井健太、25歳。しかし、騙されてビデオに出演するハメに……。自慢の超デカエリートチン○改め、リストラチン○でAV男優に華麗に転職!!
  2. SとM
  3. 桃香クリニックへようこそ
コミックシーモア
  1. 保健室のオオカミ少年
    • 男子校の保健の先生をしている私。元気すぎる少年たちの相手は大変! ……さらにナイショの彼はナマイキ生徒。強引な彼に振り回されるドキドキショート!
  2. 熱い胸騒ぎ
  3. エロチカ王子

ジャンプとかそういう漫画の類が人気なんだろうなと思いっちゃいますが、携帯コミック市場165億円は性欲の塊でした。エロチカ王子などの微妙な時事ネタもあるなんて素敵。本当にありがとうございました。

どういう神経で一般庶民にセクシャルコンテンツ押し付けてきているんだ!

携帯を見ているとやたらと電子コミックの広告を目にします。EZニュースフラッシュやモバゲーでとこれでもかとばからに電子コミック広告がしゃしゃり出てくるわけですが、「あ〜、わかったわかった。見てやるよ。見れば良いんだろ。落ち着け!」と諦めて広告をクリックしてみれば、やれ「SM」だ、やれ「ボーイズラブ」だのと、成人向けとしてもやや首を傾げたくなるセクシャルなコンテンツが盛り沢山で待ち構えているのです。

なるほど、世の紳士・淑女諸君や子供たちが男性同士の恋愛を描く「ボーイズラブ」が大好きなのか!ニーズがあるからサービスが生まれる!うほ!これはたまげた!いやいや、ボーイズラブですか!いやあ、すげえ!マジすげえ!まじ半端ねえ!マジ半端ねえ!すげえ!すげえ!すげえって!ちょちょちょもうたまんねえーーーーーーーーー!!!ふぉーーーー!!!

て、やかましいわ!ボケ!!!んなわけあるか!ニーズはほぼない、超ニッチや!調子のんな!世の中の大勢はボーイズラブが別に好きじゃないし、SMにもそんなに興味はねえっつーの!そしてこれからも興味を持つことはない可能性が遥かに高いわ!ニーズを勘違いしてもらってはこまる!性的欲求でニーズをねじまげてしまっている!

とまあ、こういうわけでですね、こういう広告を見てるとあまりいい気はしないんですよ。少し気分を害すわけですよ。どういう神経で一般庶民にセクシャルコンテンツ押し付けてきているんだ!と。

少女コミック問題もそうだけど、携帯コミックの方も忘れるな

こういうのはある程度の年齢層ならいいですけど、あまりに若年層にはよろしくないのは明らかでして。これは最近話題の「子どもに読ませたくない雑誌」の上位を独占する「少女コミック」の問題と一緒ですよね。

モバゲーを筆頭とするSNSサイトなどでは下は小学生・中学生からユーザーがいるというのに、広告として興味があるなしに関わらず、サイトの導線の中でユーザーの目に入ってしまうわけです。それをクリックするユーザーも、そのユーザーの親や学校などの教育者も、サイト運営側も、広告主側にも全ての関係者に倫理観が問われるところです。(そもそも親などは子供の携帯事情を知らない方も多い)

でも、広告主である携帯コミック業者からすれば止められないでしょう。儲かってるんだから。ビジネスとして見れば、性的欲求をPCよりも課金のしやすい携帯市場に持ち込んだ。そして、比較的受け入れが容易でかつ嫌らしいイメージが抑えられる携帯コミックの購買に向けさせた。この一連の流れは評価されるべきかもしれません。

性欲が市場を切り開くとはいえ、その影響を加味した上で倫理観が問われる

PC広告でもまだ全然十分じゃないのに携帯広告に期待するのは酷ではあるんですけれど、どうかできるだけ早い段階で携帯広告市場が成熟し、様々な種類の広告が集まり、ユーザーの特性にあった広告が配信できるようにしてほしいものです。でないと、今のような携帯広告の現状は目に余ります。これは広告だけの問題では決してないんですけれども、広告で広い年齢層から携帯コミックサイトに誘導してきているわけですから、まずは携帯広告の問題といえます。

こんな現状はけしからんと僕はこの携帯コミック市場爆発の裏にある性欲の爆発に「いいかげんにしろ!携帯はPCよりも遥かに子供に与える影響が強いんだってば!」と苦言を呈したい訳なんですが、ここは過渡期なので厳しくいってもしょうがない面があります。ただ、個人的には政府レベルで若者にとっても有害とならない形に主導していくべきだと思います。

携帯広告の問題だが、やはり社会全体として

今回の件は携帯コミック市場の爆発を(若者の)性欲の爆発に結び付けてただ単に危機感を煽りたいわけではなく、実際に以前塾講師をしていたときに、僕より少し下である、少年・少女の世代の携帯も含めた私生活を見たりして「ああ、これはいかんな。どうするべきだろう?」と問題意識を少なからず感じていたことが背景にあることをお分かりいただければと思います。性欲が市場の牽引役であることは合点承知です。ただ、社会的影響もやっぱり考えないといけませんよね、性的欲求でニーズをねじまげてますよね、ってことです。パソコンでのインターネットが少年・少女に及ぼした影響は甚大です。そして、それ以上に携帯でのインターネットの影響力は凄まじいものがあります!そこをコンテンツ配信業者、携帯広告業者、携帯キャリア、ユーザー、ユーザーの教育者も含めた社会全体としてもっと重く受け止めなければならない気がしてなりません。

*1:6月19日調べ、主要サイトの定義は適当です。携帯やっててよくみかけるサイトを抜擢